縁があって、香港島南部・香港仔にある魚河岸(魚類統營處 http://www.fmo.org.hk/index/lang_tc/)の魚河岸関係者用食堂に行ってきた。魚河岸関係者用食堂とはいっても、店が暇になる時間帯を一般開放して売上増を図っているようだ。日本でも、企業や学校などが午後2時くらいになると食堂を一般開放するところがある。あれだと思っていただければいいだろうか。日本の一般開放の食堂と大きく異なるのは、ここで食事をするまでに高いハードルをいくつも越えなくてはならないことだ。
- 予約時のハードル
(1)予約は広東語
予約要である。なぜなら、いつ一般開放しているのかわからないから。
予約は広東語を使うこと。予約客が日本人だとわかると、電話口に怪しい日本語を操る職員がでてくる。
この日本語が怪し過ぎて、却って面倒なことになる。したがって、予約は広東語で通す。
(2)海鮮料理の知識要
予約時に食べたい食材、料理名を広東語で伝える。これができないと、食べたい料理を予約することはできない。
(3)人数は8名から12名くらいは揃える
魚のスープが旨い。これを予約すると、予約客のためだけに大きな鍋に作ってくれる。
あまりにも美味しいので何杯でもいけそうだが、できれば12名は揃える。
(4)豊富な予算を用意
魚河岸といえども、海鮮の値段は安くない。豊富な予算を用意しておく。 - 食堂に辿り着くまでのハードル
(1)魚河岸敷地内は、トラックが激しく行き交っている。信号も横断歩道も安全地帯もない。
(2)停まっているトラックでは荷を上げ下ろしをしている。通行者の頭上を荷が激しく飛び交う。
(3)水槽付きのトラックからは、海水がバシャバシャとあふれ出ている。横にいれば、当然、ずぶぬれになる。
(4)地面は滑る。
(5)魚河岸敷地内で歩ける場所は、トラックとトラックの隙間しかない。そこは、荷を乗せた台車が激しく行き交う。
(6)看板などでていないので、どこに食堂があるのかすらわからない。 - 食堂に入ってからのハードル
(1)メニューはない。予約したもの以外で食べたいものは、広東語で交渉して決める。
(2)トイレが遠い。たどりつくまでに、トラックに轢かれる。
この食堂に行くことは、要領を得た威勢のいいプロが集う職場に、要領を得ない素人が迷い込むことである。当然、彼らの邪魔をすれば怒鳴られることになるだろう。これは、ちょうと築地のセリに観光客がきてセリの邪魔になって問題となっていることと同じだ。ここを訪れるのなら、仕事中の彼らの邪魔をしないようにしたい。
ここにリストしたとおり、魚河岸の施設を一般客に開放しているのだが、ハード面ソフト面ともに受け入れ態勢は全く出来ていない。
そもそも、ここは「店」ではないのだから仕方がない。他の「店」で得られるサービスを要求するのであれば、普通にレストランに行けばよいだけの話だ。
この食堂を訪れるひとは、店の事情をしっかりと理解し、不便を楽しむ余裕があるひとだけが楽しむことができるだろう。それができないひとは、この食堂を訪れて、facebookかブログに「がっかりしました」とか書き込んで終わることになる。
食べてきた料理は次のとおり。