2017/01/30

潮州菜農歴新年會2017


2017年1月29日(農歴初二)。横浜中華街・大珍樓本店での農歴新年會を開催しました。




本来であれば、春節らしい料理で豪華に飾るところです。しかしながら、2016年12月の忘年會の時点で重大なニュースを大珍樓から聞かされていました。「大珍樓本店は早ければ2017年1月いっぱいで閉店します。」本店の閉店と同時に本館のチーフである王廚師が大珍樓を去るとのこと。これが意味することは、王廚師が得意とする潮州菜がもう食べられなくなることと同義です。たとえ、王廚師が日本の他の店に行ったとしても、やたらと手間ばかりかかって儲からない潮州菜宴会を引き受けてくれる寛容な経営者かどうかが重要な鍵となります。そういう意味で、大珍樓の理解ある経営陣と王廚師の組み合わせは、奇跡としか言いようがないと改めて思います。

さっそく、新年會の予約を入れ、料理はもちろん私が最も好きなローカルフードである潮州菜の宴会としました。

新年會日に聞かされたのは、「本日が最終営業日です」。嗚呼、「ついに来たか!」という思いでした。予定は決定になっていました。これも経営方針ですから仕方がありません。日本ではおそらく唯一のホンモノの潮州菜宴会ができる横浜中華街大珍樓本店と王廚師による料理を徹底的に楽しむことにしましょう。

今回の料理は以下のとおり。すべて私からのリクエストです。


1.鹽脆花生・鹹菜粒2.潮州滷水
 (千層肉・豬脚凍・鴨肉片・鷄翼・鷄蛋・荳腐)
3.鹹檸檬燉鴨
4.炸牛肉丸
5.炸荳腐
6.梅子蒸大鱔
7.脆皮糯米醸大腸
8.魷魚碎肉粥
9.雙味水晶飽
10.白果芋泥


鹽脆花生

鹹菜粒
 このなんでもないおつまみ二品をみただけで、わかるひとには「おお!潮州料理店に来たなあ!」と思っていただけるかと思います。それほど、象徴的なんです。



豬脚凍

荳腐

鴨肉片

千層肉

鷄蛋

鷄翼


滷水煮の数々。全部、前菜です。これだけで居酒屋が開けちゃいますね。臺灣の魯味ともまた違う味わいがあります。美味しかった!

鹹檸檬燉鴨
これは、私が香港で買ってきた潮州菜には欠かすことのできない鹹檸檬を使ったアヒルの蒸スープです。潮州名菜と言ってもいいでしょう。疲れた身体には効果抜群で、蒸スープならではの深い味わいがあります。

炸牛肉丸
いろんな香りが練り込まれた牛肉団子を揚げたもの。このなんでもない肉団子が食べたものを歓喜させる威力を持っていました。「なんでこんなにおいしいんだ?」誰もがそう思ったかと思います。

炸荳腐
本来であれば、サツマイモの粉で作った豆腐を使いたいところですが、さすがに手に入らないので日本の荳腐で代用です。これはカリッと揚げた脆皮ではなくしっとりとしたタイプで、このタレが実によくあうのです。 


梅子蒸大鱔
これまでの潮州菜宴会では、 魚料理は烏魚(ボラ)を使って、凍魚飯にしたり、鹹檸檬で蒸してもらったりしてきましたが、今回は鰻を梅蒸しにしてもらいました。鰻の油のこってり感を梅で消し去りながらも、鰻らしいワイルド感を残すおいしさです。素晴らしい一品です。


脆皮糯米醸大腸
豚の腸にもち米やらナッツ類を詰め込んで、カリカリに揚げた料理。もう、潮州菜の神髄ここにありといいますか、これが日本で食べられることが嬉しくてたまりません。 


魷魚碎肉粥
前回の潮州菜宴会で出してもらったイカとひき肉の粥。あまりも美味しかったので、もう一度だしてもらいました。これが最後、二度とこんなに美味しい粥には巡り合えないだろうと思うと、思いもひとしおです。
雙味水晶飽

雙味水晶飽

白果芋泥
潮州菜ならではのデザート。お饅頭とタロイモを磨ったもの。大満足でした!

徹頭徹尾王廚師渾身の潮州菜宴会。日本で潮州菜を再現すること…形だけならできますが、ホンモノの再現は困難を極めます。しかしながら、それができたのは、大珍樓本店という理解ある店があったからこそ達成できたものと私は思います。他の店ではまず「断られる」ようなリクエストを快く引き受けてくれた大珍樓本店に深い感謝の念を捧げます。

ありがとうございました。