出会ってから40年越えの友人たち。みんな仕事、生活、事情があり、それそれの人生を歩んでいる。
そんな状況でも、年に1回くらいは集まるようにしている。いつの頃からかその集まりは「上海蟹を食べる」というイベントになり、いまは生存確認忘年会となっている。
ところで、上海蟹。上海蟹の旬は十月から十一月とされている。旬を過ぎた十二月に食べても我々シロウトにわかるほど味が変わるわけでもないことが昨年確認できた。なので、問題なし。
今回も昨年に続き会場は目黒区五本木にある中華銘菜 慶 qingでの開催となった。
菜譜
鳳城鮮鰹魚
鳳城(順徳の旧名)を冠した鰹の刺身の中華風サラダ。
日本でこの料理を提供する場合、鯛などの白身魚を使うことが多いのですが、今回は鰹。これがおいしいんですよ。この料理、青魚でもよく合うという発見がありました。
長崎県小長井産の牡蠣の蒸し物。美味しい!これ何個でも食べ続けられそう!生産者さんに感謝。
酔っ払い蟹。
上海蟹料理、いろいろなものを食べてきましたが、最後にたどり着いたのはこの酔っ払い蟹と蒸し蟹です。
食べ方は自由なのですが、私は胴体を思いっきり齧るのが好き。ジュワーっと口にひろがる蟹みそと酒の甘さが贅沢の極み。
蒸し蟹。雌雄半杯づつ提供してくれました。十二月下旬の上海蟹は季節から言うと「名残り」にあたるとは思います。いやいやどうしてこの美味しさはすごいですよ。
杞子蘿蔔牛蒡燉伊達雞
クコ、ダイコン、ゴボウ、伊達鶏の蒸しスープ。
慶では常時例湯(その日のスープ)を提供している店ですが、宴会時にときどき登場する燉湯(スチーマーや湯せんで加熱するスープ)も素晴らしいです。
広東料理店の思想はスープが体現します。スープがおいしい店はそれだけで信頼できます。
伊達鶏の醬油煮ハマナス酒の風味。
日本有数のブランド鶏を使っただけでなく、調理の見極めによって、「なめらか(滑)」で「やわらかい(嫩)」を実現しています。弾力ある肉質の歯応えとその旨味を狙って美味しさを獲得する調理法もあると思いますが、今回のてろんとした味わいの豉油雞はエロティックさすら感じるものがあります。うなるばかりです。
そろそろ野菜が食べたくなる頃合いに、野菜がでてくる。ありがたい。野菜は流れを変える重要な道しるべになります。
すでに甕出し紹興酒を空にしていたので、少し贅沢して限定版の紹興酒。
日中国交正常化五十周年記念
古越龍山
陳年10年物紹興酒
おお!雑味がなくすっきりとした味わい。高級酒となると、こういう味わいになるのですね!
鹹魚雞粒荳腐煲
塩漬け発酵魚、キノコ、鶏、豆腐の煮込み。「熱っ!うまっ!ご飯が欲しい!」と思うと、ちゃんと白飯登場!
タイ産の香米の白飯の登場。当然のごとく、鹹魚雞粒荳腐煲を白飯にぶっかけて食べます。幸福がやってきました。
シンジャーミルク。蟹は身体を冷やしますので、発汗効果を狙って生姜を大量に摂取します。
本当はプリンになるはずだったが固まらなかったとのこと。いやいや、無問題。強めのショウガ風味の温かいミルクにほっこりしました。
このままずーっと、美味しいものを食べて、酔っぱらって、くだらない話をしながら逝けたらどれほど幸せなことだろうと思う。
そんな気持ちにさせてくれる友人たちに感謝。
そんな料理と場所とサービスを提供してくれたオーナーシェフの梁さん、スタッフのみなさんに感謝。