2016/09/17

横濱中華街<大珍樓新館> × 日本橋人形町<鳥忠>

横濱中華街・大珍樓に、燒鵝(鵝のロースト)で名を馳せている香港最高峰の廣東料理店出身の燒き物師が復帰したとのことで、さっそく燒き物をメインにした宴会を実施しました。

折角ですので、日ごろから懇意にしていただいているとり肉の老舗・東京日本橋人形町<鳥忠>から、最高品質の国産家鴨を提供していただきました。本来であれば、鵝といきたいところですが、日本では美味しい鵝は入手困難とのことで、家鴨で代用です。

宴会1か月近く前に、大珍樓社長、焼き物師、點心師と料理内容について打ち合わせました。焼き物師、點心師ともに嬉しくてしょうがないといった様子で、こちらまでもがワクワクするくらいでした。アレコレ話をして、だいたいの内容を決めて、「あとは現物をみてから」ということになりました。実際、入荷した家鴨は予想したよりもかなりの大物で、急遽料理を増やすことになったそうです。

<鳥忠>の方の話では、「品質には絶対の自信があるけれど、たとえば、脂の乗り方と言った点で、料理に向いているかどうか心配」とおっしゃっていました。しかし、実際に食べてみるとそれは杞憂に終わりました。最高品質の家鴨、それも冷凍されていないものがどれほど美味しいのかその威力の前に我々はひれ伏すばかりでした。

当日発表された料理は、次のとおり。
1. 燒味拼盤(金銭鷄・叉燒・燒肉・燒鴨肝・泡菜)
2. 鹵水拼盤(鴨腎・鴨舌・鴨脚・鴨翼)
3. 冬瓜炖鴨湯
4. 琵琶鴨
5. 鹽水鴨
6. 蒜蓉炒通菜
7. 辣子鴨腸
8. 黄金斑蒸魚
9. 家郷湯瀬粉
10.杏汁炖雪梨
11. 凍芒果糯米滋
12. おまけ(黄奶小籠飽)

さあ、はじまります!
燒味拼盤
(金銭鷄・叉燒・燒肉・燒鴨肝・泡菜)
 この画像をみていただければ、説明はいらないでしょう。味、香り、歯応え、味わいで、でいきなり一同ノックアウトです。
鹵水拼盤
(鴨腎・鴨舌・鴨脚・鴨翼)
 みんな大好きな鹵水の盛り合わせ。一般的なものよりも薄目の味付けで、それがまた家鴨の各部位のうまさを引き立てているのです。


冬瓜炖鴨湯
これは、冬瓜と家鴨のスープ。広東料理では、スープは命とされるくらい重要視されます。単に美味しいだけではだめで、健康によくないといけません。そして、このスープは、その廣東料理の思想を体現するかのようなおいしさがあり、身体の細胞を潤し、飲むほどの活力がわいてくるようなスープでした。魂が打ち震えるほどに素晴らしかった。

鹽水鴨
 家鴨の塩ゆで。「なあんだ!塩ゆでかよ?」だなんて、マヌケなことは言わない方がよいです。家鴨の品質が露骨にわかってしまう調理です。冷凍ものだったら、パッサパサになるところです。しかし、この日は<鳥忠>提供の家鴨です。肉がしっとりとしていてうまみがあるのです。家鴨がこんなにうまいとは!と思い知らされた一品となりました。


琵琶鴨
 これ、日本で食べるとあまり美味しくないのでこれまで避けてきた料理です。そして、この日の風味豊かな琵琶鴨は、「なぜこれが名菜とされているのか?」を思い出させる記念碑となりました。


蒜蓉炒通菜
 ここまで、肉祭り状態でしたので、そろそろ野菜が欲しい頃。ちゃんと野菜が登場してきました。それも歯応えがうれしい空芯菜!
辣子鴨腸
香港ですと鵝の腸を使って作られるのですが、私は、これが大好き。メニューに載っているのを見つけると、ほとんど必ず注文します。
この日は鴨の腸を使ってます。パンチのある辛さと豆豉の風味が堪らない一品でした。


黄金斑蒸魚
キハタの蒸し物です。脳天、唇部分がまた極上の味わいでした。

家郷湯瀬粉
米粉の麪で大珍樓自家製

家郷湯瀬粉
スープに投入するの圖

家郷湯瀬粉
トッピング。
これは大珍樓社長の故郷のスタイル

家郷湯瀬粉
これを食べます。
同席していた香港出身の料理研究家の友人は、「私の祖母のと違う!」と言います。「私の祖母のは、漬物を使って…(以下省略)」つまり、廣東人にはそれぞれに故郷があり、その故郷の味が瀬粉のトッピングに表れているということでしょう。


琵琶鴨瀬粉
香港では、 瀬粉に燒鵝や燒鴨を乗せて食べることが多く、焼き物の味が染みてとても美味しくなります。この日は、琵琶鴨を乗せて楽しみました。

凍芒果糯米滋
 マンゴーの餡が入ったお団子。あまりにも美味しいので、「店頭で売ればいいのに!」と提案したところ、「数時間でダメになるから無理。」とのこと。やはり予約宴会ならではのデザートです。
杏汁炖雪梨
杏の核を丁寧にすりつぶしたスープのデザートです。香料ではないですよ。ホンモノを作ってくれました。陶然とする香り、ほのかな甘み、投入されている梨がまた喉によさそうなほどよい甘さ。


黄奶小籠飽
これは、大珍樓社長のアイデア料理。おまけで試食です。美味しいのですが、寿命が3分しかありません。これじゃあ商売にならないような・・・

夢のようなひとときでした。

今回も素晴らしい料理の連続。ひとつひとつの料理のおいしさもさることながら、組み合わせのすばらしさにも感嘆するばかりです。最高の技術と最高の家鴨の出会いの場に居合わせることができたことは、幸せなことであり、誇りとするところです。

それもこれも、いつもお世話になっている<大珍樓>や今回の趣旨に賛同していただいた<鳥忠>のご尽力によるところだけでなく、何よりも、私の企画について理解し、決して安くない会費を払って参加してくれる宴会仲間がいてこそ成り立つものです。

実に多くのひとに支えられていると改めて実感する宴会となりました。


感謝!感謝!感謝!