2016/08/26

元住吉<臺灣小吃 美>であまりのうまさに絶句する。

ずいぶんと昔のことです。横濱中華街に生福園という臺灣料理の店がいつの間にかオープンしていました。メニューは多くありませんでしたが、ミルク麪という胡椒の効いた白いスープの麪が大変に美味しかった。ミルク麪目当てに訪れていた生福園は、残念ながらいつのまにか消え去ってしまいました。風の便りに東急線沿線に移転したということでしたが、そのまま記憶の片隅に追いやられてしまいました。
臺灣小吃 美
ある日、ネットで生福園に関する情報を目にしました。それによると、移転先は元住吉で、今では経営者が変わって店名を<臺灣小吃 美(めい)>となっているとのこと。そして、料理がパワーアップして、容赦ない臺灣風味で人気を博しているとのこと・・・行くしかありません。

席数が少ない店だとのことでしたので当日に予約を入れました。行ってみると、大変な人気店で、予約を入れといて本当によかったです。

まず、ビールと滷味の盛り合わせを注文して、何を食べるのか考えます。
お通しの漬物

滷味の盛り合わせ

すると、厨房からむせかえるような鷹の爪を炒める香りが客席に充満しました。お客さんは全員ゲホゲホ言ってます。その料理は、丼もののようで、近くのテーブルに運ばれて行きました。そのグループ全員が「辛い!」「旨い!」を叫んでおります…締めの炭水化物はソレにすることにしました。

その他は、鹹蜆仔(シジミの醤油漬け)薑絲羊肉(羊肉と生姜の炒め)。
鹹蜆仔

薑絲羊肉

鹹蜆仔も薑絲羊肉もベラボーに旨い。いやあ、もう、堪らない!そろそろ腹もくちくなってきたので、例の丼もの、辛辛飯を注文・・・やっぱり、店全体でゲホゲホ状態。たまらずドアを開け放つ私でした。で、彼らが言うほどうまいのか?と思ったら、「ほんまや!」。想像を遥かに上回る旨さ」でした。
辛辛飯

素晴らしい店でした。私が知っているなかで、一番美味しい臺灣料理店です。メニューを見ると、予約で火鍋もあるようですし、麻油鷄といったメニューもありました。楽しみが増えました!

2016/08/18

南粤美食でランチと雑談




煲仔飯が食べたくなって、炎天下、南粤美食にでかけました。南粤美食は、ランチタイムだというのに生米から20分かけて土鍋でごはんを炊き上げるという無謀なことをやる素晴らしい店です。オープンしたばかりでまだお客さんが少ないけれど、お客さんが増えて来たらさすがに終了だと思うので、ランチタイムにホンモノの煲仔飯を楽しむなら今のうちです。

臘腸豬肉煲仔飯
この日は、臘腸豬肉煲仔飯を注文。ありがたいことに青菜も入ってます。おこげもいい感じに出来上がっていて香ばしくておいしい。食事を終え、ぼんやりとランチメニューを眺めていると、「干しえびとはるさめとトウガンの煮込み」というものがあることに気が付きました。煲仔飯ばかりに注目してしまって、蝦米粉絲冬瓜煲なんていういぶし銀のようなシブいものがランチで提供されていること気が付きませんでした。これを逃す手はありません。当然のように追加注文です!
蝦米粉絲冬瓜煲
提供された蝦米粉絲冬瓜煲は、土鍋でぐつぐつ煮えたぎっていました(まさしく、熱辣辣な状態)。熱いはうまいは香りはいいはでもう大変。ちなみに、今回は香港産(おそらく大澳産)の蝦米を使っていたようで、うまみと香りが堪らなく良いです。パッと見、3~40匹くらい使われていたように思います。なんて贅沢!

2016/08/07

南粤美食登場!


2016年夏。横浜中華街ローズホテル斜向かいに、南粤美食(ナムユッメイセッ・なんえつびしょく)という店がオープンしました。日本では広東を意味する「粤」の文字は学校では教えてくれません。そのため、日本で店を開くとき、店名に「粤」の文字を使うと、日本人のほとんどが読めないので、店名を覚えてもらえずかなり不利です。反面、この店名だけで、店のオーナーが広東人であることはわざわざ訊かなくても分かる人には分かります。これは最大の利点。



この店を見つけたとき、「この店で宴会をやらなくてはならない!」私の勘が激しく訴えました。そして、この店で一度も食事をして味を確かめることなく、自分が作ったメニューを基にオーナシェフと相談しながら宴会を企画しました。

以下が最終決定の内容です。

1. 鹽焗鷄燒鴨拼盤
2. 紅蘿蔔粟米冬瓜排骨湯
3. 腐乳炒通菜
4. 梅菜扣肉
5. 百花蒸醸荳腐
6. 豉汁醸苦瓜
7. 鹹魚鷄肉煲仔飯
8. 甜品:南瓜粟米濃糖水


勘の鋭い方は、「何か足りないんじゃねえの?」と思われますよね?そのとおりです。予算の関係で、魚料理が却下されてしまったので、豉汁醸苦瓜を入れてもらいました。結果、蝦のすり身以外ほとんど肉料理という、ちょっとバランスを欠く内容になってしまいました。ここは、イカ料理を組み込んでもよかったかと反省しています。

今回は、イキナリ宴会に突入するということで、「何があっても、どんな目に遭わされても、「今日は勉強になりました」と笑って過ごせる鋼鉄の意思」を持つ友人たちにきてもらいました。

しかしながら、炎天下の中華街を三々五々集まってきた「鋼鉄の意思をもつ友人たち」は、心のこもった素晴らしい料理の数々とそのおいしさの前に「勉強しすぎ」でメロメロ。笑いが絶えない素晴らしいときを過ごすことができました。


画像は以下のとおり。



油炸花生
こんな何気ないお通しで、ホンモノっぽくなってしまう。
ワクワクさせます。

鹽焗鷄


普通、鹽焗鷄はウエットな仕上がりであることが多いのですが、ここのは風に晒してやや乾燥させた感じ。噛めば噛むほどに味わい深く、うまさがじわじわ攻めてきます。



燒鴨
ソース香りや味が、香港の旨い店のそれに似ている。


紅蘿蔔粟米冬瓜排骨湯
魂に染み入るうまいスープ


紅蘿蔔粟米冬瓜排骨湯の具
醤油タレを付けて食べると、これがまたうまいんだよ!


梅菜扣肉
味、香り、ともに素晴らしい。
こんなにうまい梅菜扣肉って、めったにありません!


百花蒸醸荳腐
蝦のすり身が全部くっついてしまっていました。
美味しかったけれど改善の余地あり。
豉汁醸涼瓜
季節の苦瓜に肉詰めしたもの。
やっぱり、季節感のあるものを組み入れたいものです。


腐乳炒通菜
これも季節の空芯菜の炒め。
この歯ごたえこそが空芯菜の醍醐味。
鹹魚鷄肉煲仔飯
粤南美食の看板メニューの炊き込みご飯。
ちゃんと生米から炊き上げますので、時間がかかります。
普段は、ジャポニカ米を使用しますが、この日は友人が持ち込んだタイ産の香米を使用しました。
この香りに陶然となりました。


鹹魚鷄肉煲仔飯のおこげ
甜品:南瓜粟米濃糖水
これは、女将さんによるデザート。
旨くてなけてくる。
美味しかった!たまんねー!

未知の店での初めての宴会でしたが、いきなり素晴らしい内容となりました。今後にも期待が持てます。また、横濱中華街に久しぶりに個人経営の廣東料理店がオープンしたことが嬉しくてたまりません。

2016/07/31

横濱中華街・大珍樓本店にて潮州家郷菜宴2016

横濱中華街・大珍樓本店にて潮州家郷菜宴を実施しました。
潮州料理は、福建料理とならんで私が最も好きな地方の料理です。
過去20数年近く、大珍樓で幾度となく潮州家郷菜の再現宴会を実施し、試行錯誤を繰り返してきました。そして、ここ数年、やっと満足できる水準に達しました。
ちなみに、私が目指しているのは、高級店のそれではなく、街場の大衆的な人気店の味の再現です。そのおいしさを日本で再現することは難航を極めましたが、いまや日本で楽しめることが夢でも奇跡でもなくなったことがこの上なく嬉しいです。もちろん、その実現には、私の要求をきちんと理解して、厨房に正確に伝えてくれる大珍樓の陸社長の存在が大きいです。

今回、依頼したの料理は以下のとおり。

1.潮州打令(醃鹹菜・荳醤蘿蔔・滷水鴨片・豬脚凍)
2.豬尾花生湯
3.凍蟹
4.蠔烙
5.菊花石榴鷄
6.鹹檸檬蒸烏魚
7.豉汁鰻魚煲
8.魷魚肉碎粥
9.馬蹄緑荳爽、芝麻球
芝麻球は潮州菜ではありませんが、店から「おいしいから是非」とのことで提案がありましたので、組み入れていただきました。

画像は以下のとおり。



嵐の前の静けさ

荳醤蘿蔔

醃鹹菜

豬脚凍

滷水鴨片

豬尾花生湯

豬尾花生湯の具

凍蟹

蠔烙

菊花石榴鷄

鹹檸檬蒸烏魚

豉汁鰻魚煲

魷魚肉碎粥

馬蹄緑荳爽

芝麻球


おいしかったーっ!

世の中に、これほどまでにおいしいものが存在しているのだと改めて実感する宴会となりました。これは、いつも宴会にお付き合いしていただいている皆さんや難しい要求にも応えてくれる大珍樓のスタッフのおかげです。


すべてのみなさまに感謝!感謝!感謝!


2016/01/24

横濱中華街大珍樓本店で粤菜新年會2016



記録的な暖冬と伝えられた2016年の年明けでしたが、新年會のこの日、記録的な寒波がやってきて、日本列島を凍りつかせました。長崎あたりでも100数年ぶりの降雪を記録。臺灣でも降雪のニュースが伝えられています。

今回の新年會では、新年っぽい料理を敢えて組み込まず、季節感のある食材や身体が温まる料理で構成してみました。結果、どういうわけか、農村のお祝い事の宴会っぽくなり、素朴で力強いすばらしいものになりました。


01.豉油鷄
今回は、前菜をどうするか大変に悩みました。
定番の燒味拼盤にするか、新年會に相応しい撈起魚生にしようか、それとも白灼中蝦でさっぱり目でいこうか・・・などと楽しい悩み。結局は、見た目、味ともに迫力のある豉油鷄なら盛り上がるだろう・・・ということで、豉油鷄にしてみました。香り高く、味がよく滲みていて素晴らしい味わいのあるもので、やっぱり盛り上がりました。
02.淮山杞子燉水魚
「冬なので身体が温まるものを」と考え、すっぽんの蒸しスープを依頼。今回の宴会全体からみたら突出して高額ですし、やりすぎの感が否めないのですが、たまには贅沢してもいいでしょうということでお願いしておきました。
次元の違う途轍もない美味しさ、身体がポカポカと温まる効果、みなさんの顔色がどんどんよくなっていくのがわかります。

03.薑汁炒芥蘭
これは2016年1月に香港で食べてきて美味しかった調理法を日本でも再現してもらいました。生姜の風味が野菜によく滲みこんでいて、相互に香りを引き出しておりました。清炒とはまた違う美味しさがあります。
04.鹹檸檬蒸排骨
潮州料理で多用される鹹檸檬を使って、排骨を蒸してもらいました。これは以前、「鹹檸檬を使った料理を何か考えて」とリクエストして、考えだされた一品です。今回は少し甘い味付けとなっていますが、檸檬の風味が食欲をそそりました。

05.油炸鬼焗真鱈白子
これは香港で時々お目にかかる焗魚腸という料理を日本で再現するにあたり、手に入りにくい魚の腸を真鱈の白子で代用したもの。正直なところ、真鱈の白子で代用したこれの方が圧倒的に美味しいです。冬にしかできませんが、是非皆さんにも試して欲しい一品です。

06.家郷蒸桂花魚
廣東料理には、清蒸魚という素晴らしい料理があります。今回は、手を加えてたっぷりの漬物の冬菜や豚肉の細切りなど乗せて桂花魚を蒸してもらいました。画像から伝わるでしょうか?50cmを超える大物です。食べ応えもあり美味しかった。

07.臘味煲仔飯
季節の干し肉を使った炊き込みご飯。あまり濃い味付けをしないところがまた味を引き出して素晴らしい。
08.芝麻湯圓紅荳沙
日本のお正月ぽいかなと思い、定番のお汁粉。
09.流沙飽

09.流沙飽
溢れ出る鹹蛋黄を見よ!
日本で食べること自体が奇跡な一品。入神の域に達している。唸るほど旨い。

宴会後、獅子舞がきてくれました。みんな大感激!

ご覧のとおり、広東省の農村の祝い事のときの宴会みたいな内容となったが、これこそが私の目指す宴会である。

多くの仲間と大珍樓の理解と協力によって実現できた。感謝の気持ちでいっぱいである。

今年もよろしくお願いいたします。