こんな私ですが「たまにはオシャレな店で宴会したい!」ということで、いろいろと店をリサーチ。東京・恵比寿にあります中華香彩JASMINEという店が浮上してきました。宴会仲間の評判もよいので、偵察がてらランチ訪問。そのときに感じたことは、伝統を重んじながら創意工夫を詰め込む料理を提供する店だということ。
普段、私が求めている「徹底的に郷土料理を現地風味で」とは少し方向が異なりますが、美味しければいいのですから、まずは小規模でお試し宴会を開催することにしました。
JASMINEのサイト(http://jasmine310.com/hiroo/)をみると、シェフの山口さんは江南地方の郷土料理を得意とされているようですので、予約時に「江南地方の郷土料理だけで構成された宴会メニュー」を打診しました。提出された第一案を基に何度かやり取りして決めた料理は以下の通りです。
―菜單―
01. 江南八小碟
- 本帮滷烤麩 上海風カオフの煮しめ
- 紹興糟三樣 三種食材の紹興酒糟漬け
- 糖衣心太軟 もち米を詰めた棗の糖衣かけ
- 龍井茶燻魚 縞鯵の杭州龍井茶の瞬間スモーク
- 鎮江凍餚肉 鎮江名物豬脛肉の冷製
- 江南十八鮮 江南風彩り野菜の和え物
- 揚州燙干絲 揚州名物押し豆腐の湯引き
- 香菰爆脆鱔 精進田ウナギの甘酢炒め
02. 宋嫂鮮魚羹 杭州名菜宋おばさんの魚スープ
03. 古法香酥鴨 江蘇式アヒルの丸揚げ
04. 清炒河蝦仁 太湖の河蝦塩炒め
05. 蔥烤雙蔬煲 里芋とカリフラワーの炒め煮土鍋仕立て
06. 酸菜蒸魚件 石垣島直送スジアラと酸菜(発酵白菜)の重ね蒸し
07. 紅扒整豬頭 豚頭の揚州風醤油煮込み
08. 杭州片児川 雪菜と筍、豚肉の煮込みそば
09. 糯米松子燒賣 松の実いりもち米焼売
10. 椰汁綠荳湯 ココナツミルク風味の緑豆のお汁粉
どおです!すっごいでしょ?ワクワクするでしょ?
宴会前日、明日宴会に思いを馳せながらテレビ観ていたら、「新・チューボーですよ」にJASMINEの山口シェフが巨匠として登場!「ああ!明日は大行列なんだろうなあ!そんな日にめんどくさい宴会入れてしまった・・・店に申し訳ないことをした。」と思いつつ、宴会当日を迎えました。
当日はやっぱり行列ができています。宴会が始まる前から行列のお客さんたちの刺す様な視線と、おハイソな他のお客様の冷たい視線を感じつつ、いつもどおりのドンチャン騒ぎ。お洒落な店でやっちゃいましたです(猛反省)。
料理は、期待以上のものがありました。とりわけ、酸菜蒸魚件は、私の「発酵調味料を使った料理」というリクエストに応えたおそらくシェフの創作料理。香港でおなじみの豚肉や漬物などの細切りを魚に乗せて蒸す家郷蒸鮮魚の技法を使い、漬物を東北料理でおなじみの発酵白菜に換えて乗せたもの。少しピリ辛風味を加えて、素晴らしい料理となりました。おまけに魚の下に敷かれた粉絲がこれまた旨い!あまりの美味しさに唸りをあげました。
それから、豚の顔、予想通りインパクト大。そして美味しかった。
残念ながら香酥鴨は改善の余地が大ありでした。これは、決して失敗作ということではなく、予約時に伝えた私の好みである「伝統的な郷土料理」を伝統的な技法そのままで作ったものです。いまから三十年くらい前までよくみられた、厚い衣のもっさりした揚げ物でした。ここ数十年でひとの味覚は、急速に軽いもの、エッジが効いたものにシフトしているため、この技法では時代に追いついて行けないように感じました。
機会があったら宴会やりたいです。また香酥鴨を作ってもらいたい。今度は、衣を薄めにして、八角、花椒でスパイス感を出してもらおうかと思ってます。
でも、出入り禁止になっていなかったらの話ですけど・・・
なお、今回のメニューを決めるのに約1ヶ月を要しました。シェフに時間をかけて丁寧に対応していただきました。大感謝です。
お通し |
壮観な前菜群 |
揚州燙干絲 この細さがセレブが集う店を体現している |
香菰爆脆鱔 |
江南十八鮮 |
本帮滷烤麩 |
紹興糟三樣 冬瓜・鴨舌・鷄 |
龍井茶燻魚 |
鎮江凍餚肉 |
糖衣心太軟 これ、すんげえ旨え! |
宋嫂鮮魚羹 |
古法香酥鴨 |
清炒河蝦仁 |
蔥烤雙蔬煲 |
酸菜蒸魚件 |
紅扒整豬頭 |
紅扒整豬頭 なんと豚の頭のしたには、獅子頭が敷き詰めてある |
糯米松子燒賣と杭州片児川 |
椰汁綠荳湯 |