目黒区五本木(最寄り駅:東横線学芸大学)にある中華銘菜 慶 Qingでの小宴会。慶 Qingのファンである友人が宴会を主催してくれました。一週間前に突然話が持ち上がり、予約が取れたので、「特別な料理なしで、例湯(ライトン・その日のスープ)を中心にお任せ。」で依頼しました。
宴会当日、気軽に集まり、気軽に始まった宴会なのに、でてくる料理は遊び心と真剣さが混ぜ合わさった謎の展開となりました。
1.醉北海道牡丹蝦
北海道産ボタンエビの老酒漬け
いきなり30cmに迫る巨大な酔っ払いボタンエビ登場に思わず歓喜の声があがります。写真が下手でその迫力が伝わらないのが残念!
見た目のインパクトだけではなく、その美味しさに酔いしれます。宴会メンバーの心はがっちりとつかまれてしまいました。
2.蜜汁胡椒味燒排骨
スペアリブのハニーペッパー焼き
大迫力のスペアリブの焼き物登場。もう、手づかみでむしゃぶりつきました。骨の周り、うまいんです。
3.例湯
排骨鷄翼鴨肫高菜老火湯
慶に行ったら外せないのが例湯。スープ命!の廣東人を具現化するスープです。美味しいばかりでなく、滋養に富み、身体に染みわたり明日への活力になるのです。この日は、スペアリブ、鶏手羽、アヒルの砂肝、高菜をコトコト炊き込んだスープでした。具は、別皿に盛られてでてきます。食べない人が多いようですが、まだまだ味は残っています。もったいないので、食べちゃいましょう!
4.蝦醤炸鷄翼
鷄手羽の揚げ物蝦味噌風味
慶のオーナーシェフの梁さんは、横浜中華街の南粤美食の存在は認識しているようです。
この蝦醤炸鷄翼は、南粤美食での宴会でだしてもらった蝦醤炸鷄(鷄唐揚げ蝦味噌風味)に呼応した慶からの贈り物。蝦醤炸鷄は、街頭美食である蝦醤炸鷄翼が発展したものと考えられており、慶はその原点をだしてきたという遊び。いやあ、美味しいですよ。
5.薑茸炒菜心
サイシンの炒め物、生姜風味。
揚げ物のあとは、生姜風味でさっぱりとした菜心の炒め物。
味の染み込み方がよく、みなさん関心するばかり。
6.潮州鹹檸檬蒸排骨
スペアリブの蒸しもの潮州産塩漬けレモン風味
かつて横浜中華街大珍樓での宴会の際、私が持ち込んだ潮州産鹹檸檬で「何か作って」というリクエストに対し、試行錯誤の末に開発されたのが、鹹檸檬蒸排骨。あまりにも美味しかったので、いろいろな店で再現してもらいました。そして、大珍樓に匹敵する美味しさを再現させたのが南粤美食でした。
私がいつも香港で購入し、店に持ち込む鹹檸檬は漬け込んで1年程度のまだまだ黄色い若いやつ。これを使うと強い酸味が清冽にして爽やかで、溌剌とした躍動感あふれる味わいとなります。
一方、慶で使用している鹹檸檬は、熟成が進んで数年は経ったもののように見えます。これを使うと、酸味はまろやかになり、皮は陳皮のような風味すら感じられて、味わいに奥深さを増します。
鹹檸檬が異なるだけでこれほどまでに味わいが異なるなんて面白いじゃありませんか!この料理、新鮮な檸檬を使っても美味しいだろうし、自家製塩レモンを使ったらその店独自なものになるだろうし。また、自家製塩レモンなら熟成具合によって変化も楽しめるに違いない。いろんな店で試してもらいたいなあ。
7.清蒸九絵魚
クエの姿蒸し
蝦醤炸鷄翼といった街頭美食が登場する宴会で、超高級魚クエを使った蒸し魚がでてくるという弾けっぷり!躊躇なく両者を同じ土俵にのせてくるという大技を繰り出してきました。「美味しい!」の前にA級だのB級だのというカテゴライズなんて意味がない!それを教えてくれているように思います。おいしかった!
8.白飯
ごはん
蒸し魚がでてくると、醤油タレを白飯にぶっかけて食べたくなりますよね?もうさ、注文しなくても、全員に一膳づつ配られる。わかってらっしゃる!コースの締めの炭水化物がこれで決まりです。
9.慶式合桃露
中華銘菜 慶 Qing特製クルミの汁粉。
美肌に効果ありで近年人気のクルミですが、クルミをふんだんに使った中華デザートが昔からありますよん。この温かさが、心を穏やかにしていきました。
ところで、ご覧になって気がつかれましたか?排骨や鷄翼といった食材が重なってますよね?これ普通ならやらないのですが、敢えて提供しているところが「遊び」たる所以です。他のお客様に対してはまずやらないと思うのですが、私たちは何度も出かけて好みなども理解していただいているので、こういう遊びも無問題。むしろ大歓迎です。他のお客さんだと、「あの店はメニューの組み立てが変!ガッカリ!」とか食べログに書いちゃうひともいますので、難しいものです。
突然決まった宴会で、たったの1週間で、これほどまでに美味しくて、興味深い宴会料理を作り上げてくれました。
中華銘菜 慶のオーナー・梁さん、スタッフの皆さんに感謝するばかりです。それから幹事のOさん。来てくれたみなさんにも感謝。